陶器修理におけるカラーフィル技法とは?イギリス発祥の修復技法を紹介

公開日:2023/10/15


思い出の器、大切な食器がふとしたことで、割れてしまった経験はだれもがあるでしょう。あきらめる前に陶器修理が、可能であることを知っていますか。陶器修理業者が存在して自身でも修理が可能です。陶器修理にはいくつか方法がありますが、イギリスで生まれた修復技法であるカラーフィル技法を紹介します。

カラーフィル技法とは?

カラーフィルは、陶磁器を修復する技法のひとつです。特徴としては、修復範囲を最小限に抑えて、本来の姿に近づける修復技法になります。

本来の姿に近づける

カラーフィルは文化財を保存する最適な技法です。英国で発達した技法になり、できる限りカラーフィルで元の姿に蘇らせて、陶磁器本来の修復を目指します。修復に使用する素材は、常温で固まる材料で再焼成はしないため、再焼成によるダメージを受けることはありません。ただ、修復に使う素材は高温に適さないほか、修復後は飲食用としての使用は、避けた方がよいでしょう。

可逆性を大切にする技法

文化財など再修復するとき、修復の材料や技法を考えなければなりません。ダメージがなく、もとの状態に戻し修復する考えを可逆性といい、陶器に限らずに優先としなければならないことです。陶器は何千、何万年という年数を超えられます。

現在の最善の材料と技術で修復して将来、より向上した材料や技術が開発されて修復し直すことでさらに長く、もともとの芸術品のすばらしさを後世に引き継ぐことが可能となるでしょう。その美術品の良さ、美しさを大切に残し、破損した部分だけを修復する技法がカラーフィルです。

カラーフィル技法による修理の流れ

カラーフィルは、割れ、欠け、ひびの修理ができ、合成樹脂などと顔料を合わせてパテを作り修復します。陶磁器の欠け修理の流れを解説しますので参考にしてください。

状況確認とリサーチ

まず、修復する陶磁器の状況を確認します。欠けている部分の破損面の状態を知り、クリーニング方法を決定する段階で、クリーニングで剥がれないようにしっかりと調べ確認。修復は、残されている部分をヒントに再現しますが、不十分なときは似たようなものをリサーチし、美的要望、文化財保存的な要望など、特殊な材料が必要なときは材料もリサーチします。

クリーニング

クリーニングは、欠けた部分をきれいにする大切な作業です。白地などは少しでも汚れやシミが残っていると後々、汚れが目立ってくるため、陶磁器に優しいクリーニング方法であるスチームクリーナーを使用して、それでも取れないときは薬品を使うなど段階を踏みながらきれいにします。

基本のパレット

カラーフィルでは、基本3原色と白色のパレットを作ります。主剤と硬化剤を混ぜ、そのあとエロジールを少しずつ混ぜながら、硬めの透明なパテを作成。仕上がった透明パテを少しずつ取り分けて、白、青、黄、赤の順番でパテと顔料をよく混ぜ、4種類のパレットを作ります。

色作り

カラーフィルの色作りでは、陶磁器の表面的な色を合わせることと、焼き物の透光性、光を透かす性質を持つ陶磁器があるため、透け感を合わせることが必要です。欠けた部分を埋めるに十分な透明パテの分量を取り分けて、パレットの色を少しずつ加え、陶磁器の色濃さ、透光性を合わせたパテを1時間くらい目安に作成します。

パテの充填と仕上げ

パテが充填する部分に足りているか確認したあと、欠けた部分にパテをのせて形を整え、欠損範囲にオーバーラップさせてふっくらした感じに仕上げます。カラーフィルをした部分は、完全に硬化するにおよそ3日。硬化後、カラーフィルした部分を釉薬に傷がつきにくい紙やすりで、陶磁器の形を整えながら軽くかけ、欠けた部分より1~2mmオーバーラップする感じで削り込んでいきます。指で触りフラットの形になるまで作業。つやを出す布やすりを軽くかけ、仕上げの工程ではグレイゲイトを使用して磨き仕上げます。

カラーフィル技法は自分でもできる?

カラーフィルの技法を学ぶ講座や、YouTubeでカラーフィルでの修復方法の解説などがあり、自分で直しみたい方には参考になるでしょう。

通信教育で学ぶ

通信教育のCRAFTINGでは材料キッドの中にカラーフィルに必要なものがすべて入っており、動画レッスンで基本のパテの作り方から仕上げの方法まで、カラーフィルの技法が学べる講座になります。応用編として色の表現が難しいものが学べ、LINEで質問が可能です。

工房いにしへ公式YouTubeから情報を得る

カラーフィルで必要なものの使い方からカラーフィルでの修復方法まで、幅広く解説しています。ていねいにわかりやすく、コツなども説明しているため、カラーフィルでの陶磁器の修復方法、流れがわかる動画です。ただ、基本のパテの硬さや陶磁器の本来の色を見抜いた色合わせは、練習の積み上げで納得いくものが仕上でしょう。

まとめ

修復範囲を最小限に抑えて、陶磁器がもつ本来の色や、雰囲気に近づける修復技法カラーフィルを紹介しました。陶器のダメージがなく、もとの状態に戻し修復する方法のため、陶器の良さ、美しさを大切に残すことができます。自分でも修理は可能ですが、カラーフィルの技術を習得するには、積み重ねの練習が大切です。きれいに修理したいと検討している方には陶器修理業者に依頼することをおすすめします。

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