金継ぎ修理した陶器は注意が必要!気をつけるべきこととは?
陶器のひび割れや陶器の欠けなどを修復する技術を金継ぎと呼ばれます。伝統的な修理方法であることもご存じでしょうか。また金継ぎとは、陶磁器や漆器などを漆で繋いで修復するのです。直ったからと通常と同じ使い方でいい?と聞かれたとき、皆さんの答えが合っているか、今回は金継ぎ修理した陶器の注意点や気を付ける点を紹介しましょう。
金継ぎした陶器はすぐに使ってはいけない
金継ぎでの修理を終えて使えるようになったとはいえ、すぐに使うことはおすすめしません。すぐに使ってはいけない理由を説明します。
時間が必要
金継ぎの修理には継ぎ目に対して、漆を使用するためです。実は漆の樹液には、強力な接着力があるため、時間を長く置いてしっかりと接着させて、陶器部分と修理部分を繋ぐことが必要になります。
すぐに使いたいという気持ちを抑えて、できるだけ修理が完了してから数か月は置き、様子を見ながら少しずつ使うことがおすすめです。
金継ぎした陶器に電子レンジやオーブンは厳禁
修理した金継ぎの陶器は、絶対に電子レンジやオーブンでの使用はやめてください。理由を含めて説明しましょう。
火花が散る
金継ぎした陶器はとてもデリケートです。電子レンジに入れて温めてしまうと、火花が散り最悪火事につながる恐れがあります。
食洗器や食器乾燥機も同様です。火花は散らないにしても、せっかく継ぎ目の部分に使った、金属粉が剥がれて、再度の修理が必要になる可能性が出てきます。電子レンジや長時間熱のなかに置くことはやめましょう。
オーブンや直火もNG
デリケートな陶器をオーブンや直接火にかけるなど、乾燥機以上の高温は一気に陶器の破損は大きくなります。せっかく金継ぎ修理した陶器を今度は、処分せざるを得なくなるため、注意してください。
しかし陶器でも、特殊な素材を使っている陶器もあるため、耐熱性がある場合もあります。耐熱性があるか確認して慎重に使いましょう。
金継ぎした陶器を使うときに注意すべきこと
金継ぎした陶器を使うときには、何に注意していけばいいのか、実は日常生活で、よくしてしまいがちなことも多いです。改めて注意する部分を意識してみましょう。
食器を重ねない
金継ぎした陶器をほかの食器と直接、重ねないように気を付けてください。ほかの陶器と重ね際の擦れが、ヤスリと同じ作用を果たしてしまうため、修理した部分が重ねる度に、少しずつ削られていくのです。どうしても重ねる場合は、修理部分に当たらないよう注意しましょう。
また収納する場合は、陶器と陶器の間に新聞紙や紙を挟んだり、食器スタンドを使ったりと、陶器の修理部分に負担がかからないように心がける必要があります。
金属の食器は避ける
箸以外の金属のスプーンやナイフ、フォークは使用しないでください。金属の食器は金継ぎを傷つけやすいため、金属のスプーンやナイフ、フォークを使用する場合は、陶器の修理部分に当たらないよう注意する必要があります。工夫としてスプーンは木製のものを使うといいでしょう。
冷蔵庫への保管
食材を入れた陶器を冷蔵庫へ入れると、つなげた陶器の部分と、修理した部分に乾燥速度の差が出てしまいます。乾燥速度に差が出てしまうことで、ひびの再発につながりかねません。また短時間の保管に問題はありませんが、長時間の冷蔵庫への保管は避けましょう。
金継ぎした陶器を洗うときの注意すべきこと
修理後に時間を置いて、使い始めた陶器を洗う場合の注意点を説明します。長く使用するため、注意点に気をつけましょう。
優しく水洗い
直した継ぎ目の部分についている、金属粉をはがさないようにするためです。洗剤の使用は大丈夫ですが、可能な限り優しく洗いましょう。クレンザーなどの研磨剤、たわしなどの陶器を傷つける、硬い素材で洗うことは絶対にしないことです。洗い終わった後は、乾いた布で拭き取り、しっかりと自然乾燥をしましょう。
直射日光は避ける
漆は紫外線に弱く、直射日光に長時間晒してはいけません。花瓶などは、活けた植物にはどうしても日光が必要になってきますが、場所を選んで置くとよいでしょう。置きたい場所にどうしても直射日光が差し込んでしまう場合は、陶器の部分に通気性のよい布を巻くなど、工夫して使用してみてください。
水への漬け置き
陶器部分と修理部分の剥離の原因になるためです。食事に使用した場合は、取りにくくなる前にサッと水で洗い流す、キッチンペーパーで拭き取るなどの工夫があります。水への漬け置きや水分のあるものを入れたまま、長時間放置することは絶対に避けてください。
まとめ
金継ぎ修理をした陶器の気を付けるべき点を紹介しました。陶器の修理には、漆の強力な接着力を使用するため、修理後は長い時間置く必要があります。通常の食器以上に扱いに注意をしなければいけません。扱いに多くの手間や注意点はありますが、修理をするほどの愛着を持った陶器。修理後も変わらず大切に扱うことで長い年月、いつまでも使うことができるかもしれません。